「トイレが近くて、違和感がある!?膀胱炎かも」
膀胱炎を治療せず放置しておくと、膀胱から尿管を通って腎臓に細菌感染して、腎盂腎炎を引き起こすこともあります。腰の痛みや高熱で、入院しなければならなくなります。
「膀胱炎」について、誘因、検査、治療、予防など知っておくべきことを解説しました。
2分ほどで読めますので、ご一読ください。
尿道の入り口から膀胱に細菌が入り、増殖して炎症を起こすために引き起こされます。
女性は男性に比べて構造的に尿道が短く、細菌が膀胱に入りやすいため、女性に多い病気です。
膀胱に侵入する細菌の多くは、大腸や直腸などにいる大腸菌です。
通常であれば、排尿によって細菌も膀胱外へ排出されます。
しかし、疲労やストレス、風邪などの病気などで免疫力が抵抗していると、細菌は繁殖しやすくなるので膀胱炎を起こしてしまいます。
また、トイレに行くことを我慢すると、膀胱に細菌が留まり増殖して膀胱炎になりやすくなります。
初期には、排尿時の違和感・かゆみ、尿道の出口の痛み、下腹部の違和感、頻尿、残尿感などの症状があります。
悪化すると、排尿時の痛み、血尿、下腹部の痛みなどの症状が出てくることもあります。
ちなみに、必ずしもすべての症状があるわけではなく、尿道の出口が痛みのみ、血尿のみの場合もあります。
短い時間の感覚で尿意を催したり、1回あたりの排尿量が少なくなったり、下腹部に痛みがある場合には膀胱炎を疑います。
また、細菌が膀胱から腎臓にまで到達してしまうと、腎盂腎炎を発症する場合もあります。
この場合、膀胱炎ではほとんど見られない発熱や腰痛などの症状が現れ、痛みなども伴います。
・仕事でなかなかトイレにいけないため、排尿を我慢してしまい、細菌が増殖してしまう
・水分摂取の不十分なため、膀胱に尿が溜まらず、排尿が起こりにくくなり、細菌が増殖してしまう
・風邪をひいたり、ストレス・睡眠不足により、免疫力が低下して、細菌が増殖してしまう
・パートナーとの夜の交渉で、細菌が尿道から入ってしまう
尿を採取して、迅速検査をおこないます。結果は10分ほどでわかり、尿中に白血球や血液が混じっていないかどうかチェックします。
ちなみに、正常であれば、尿中に白血球は検出されないのですが、膀胱の粘膜に細菌がいると、血液中の白血球が攻撃するため、白血球が死んで尿中に含まれるようになります。
尿中に白血球がいるということは、細菌がいる証拠になります。
治療をすぐに開始できるように迅速検査を行いますが、尿の培養検査で細菌の種類や、どの抗生物質が効くかどうかがわかる薬剤感受性なども詳しく検査します。
この検査には1週間ほど時間がかかるため、検査結果が出るまでに治療によって症状が改善していることも少なくありませんが、症状が改善しない場合には、細菌の種類に合った薬に変更できます。
抗生物質の飲み薬を内服します。抗生物質の効きがよくない場合は、種類を変更します。
尿培養検査や薬剤感受性検査をおこなうこともありますが、即日治療開始したにもかかわらず、治りがいまいちなときは、薬の変更の際に、参考になるわけです。
尿培養検査は、どのような細菌が検出されたかわかります。
薬剤感受性検査により、どの抗生物質が効くか効かないか結果が出ます。
治療中には水分を十分に摂取し、尿をたくさん出すように心掛けましょう。排尿することで膀胱内に増殖している細菌を体外へ排出できます。
また、治療中には細菌が増殖しないように、自身でできることもあります。
過度のアルコール摂取、ストレスや疲労による免疫力低下にも注意をし、尿道からの細菌が侵入しないように清潔な状態を保つようにしてください。
薬の内服を始めると数日で症状が軽減されてきますが、自己判断で内服を中断せずに医師の指示に従って内服を続けましょう。
泌尿器科におかかりください。通常、婦人科や内科のクリニックでも診療しています。
ドラッグストアなどで膀胱炎向けの漢方薬の市販薬もありますが、細菌をやっつける抗生物質の成分は含まれていません。抗生物質は、クリニックや病院で処方されています。
市販薬はあくまでも症状を和らげる薬です。膀胱炎はきちんと治療を受けなければ再発を繰り返しやすい疾患ですので、早めに病院で治療を受けることをおすすめします。
・トイレを我慢しない
・水分をしっかり摂る
・ストレスを溜め込みすぎない
・充分な睡眠時間を取る
・トイレでは、前から後ろに拭く
・身体が冷えると膀胱炎が起こりやすくなるので、冷房や冷たい飲み物の飲みすぎなど冷えに注意する
・陰部を不潔な状態にしない。入浴や下着交換をきちんと行い、清潔な状態を維持します。女性の場合は生理時のナプキンは頻繁に交換するようにしましょう
・性行為の後はすぐに排尿を行い、尿道口についた細菌を流すようにする
・膀胱炎の可能性がある場合には、病院へ行きましょう。放っておくと症状が悪化する可能性があります
基本的には、膀胱炎では熱がありません。抗生物質を飲まず放置しておいても、自然治癒することもありますが、発熱し腰の痛みが生じるようなら、腎盂腎炎が疑われます。
腎盂腎炎まで進行してしまった場合は、精密検査が必要なため、総合病院泌尿器科などにおかかりになることをおすすめします。
膀胱炎が疑われる症状があれば、早めに泌尿器科を受診してください。
細菌の増殖が少ない段階であれば、その分、治療期間も短くなります。
当院泌尿器科では、膀胱炎の検査や治療をおこなっております。お気軽にご相談ください。